働くってなんだ。

最近何度も読み返している漫画がある。

 

『広告会社、男子寮のおかずくん』(著者:オトクニ|発行:株式会社リブレ)

2021年4月現在、6巻まで発売されている。

広告代理店ミナト広告で働く営業の西尾和(通称おかずくん)を中心に、おかずくんの同期マーケティングチームの東良啓介、クリエイティブチーム北一平、経理部 南郷正の4人は、毎週金曜日にご飯を持ち寄り夕食会を開いている。

持ち寄り会の4人の仲のいいやりとりが描かれるのは勿論の事、ミナト広告でのお仕事の様子、それにまつわる人間同士の物語もしっかりと描かれており、とても満足感たっぷりの素敵な漫画なのだ。

 

私は、仕事というと、どうしてもいじめられた過去やセクハラやパワハラの記憶が濃く、1日約8時間を耐えて耐えてぐったりしながら一週間を終えるイメージしか抱けない。

 

でも、ミナト広告は違うのだ。

仕事に対する情熱が、自分の会社を愛する気持ちが、仲間との連携を大切にしている感じが、ひしひしと漫画から伝わってくるのだ。

他部署の仕事を大事に考えているおかずくんの言葉に、まるで登場人物かのように私が嬉しさを感じ、おかずくん自身の広告や営業という仕事に対する情熱に尊敬の念を抱かずにはいられない。

東良くんや北さん、南郷さん、そのほかの社員の奮闘も、社会経験のある人間であれば「分かるわぁ」「こういう先輩欲しかったぁ」という感想を持たずにはいられないと思う。

 

ただ、この漫画の個人的にいいと思っているところは、「いい所ばかりじゃない」事をきちんと描いているところだ。

嫌味な屁理屈を言う部下が出てきたり、自分のペースで部下(しかも他部署)を使う先輩もいる。

会社には色んな人がいる、なかなかその人は変わらない。

その、日常に必ず潜んでいるどうしようもないモヤモヤを、この漫画ではきちんと登場させるのだ。

そのモヤモヤの解消の仕方もリアルで感情移入しまくりである。

辛い事もある、そのしんどい所を持ち寄り会の旨い食べ物と楽しい会話で流し込んでいく。

その流れが本当に好きだ。

 

ミナト広告は私の理想の会社だ。

何を隠そう、経理部の南郷さんのセリフ『経理は誰にでもできる仕事ですよ』から続く素晴らしい言葉に感動して泣いたのは私だ。(1巻132ページより)

経理と言わず、事務職なら誰もがぶつかった壁を、南郷さんの優しい言葉が溶かしてくれたのだ。

様々な職種の立場に立って、きちんとその仕事の大事さが分かっている作者は本当に素晴らしい方だと思う。

 

会社の上層部の人間にもぜひ読んでほしい。

挫けそうな社会人の方にもぜひ読んでほしい。

きっと仕事に対する考え方や気持ちが変わると思う。

 

長々と語ったが、最後に声を大にして伝えたいことが、ひとつ。

 

登場するご飯が素晴らしく美味しそうなので、夜中に読むのは大変危険である。