肯定する事の素晴らしさ。

昔から自分に自信がなく、周りの意見に押されに押され、好きなものを好きと言えずに

この歳まで生きてきた。

 

「歌う事が好き、文章を書くのが好き…将来は創作する人間になりたい」

 

心の片隅にあった希望を、自信がなくてどうにも人に言えず、人と違う事をする勇気もなく

気づけば母の望む会社員の道へ歩いていた。

 

中学生の頃に部活内でのいじめに遭い、どうにも人間が好きになれなかった私にとって

会社という場所は大変気を遣い、上手く心を労る事ができず心を病んでしまった。

1年弱で寛解したことをいい事に、素知らぬふりをして社会復帰をしたものの、心の扱い方を理解していなかったため、何度も何度も挫けてしまった。

 

他の人と同じように働けない自分を毎日責め続ける、そんな時にこの漫画と出会った。

 

『ハルとアオのお弁当箱』(著・まちた/出版・徳間書店

オタク女子のハルと、オネエの蒼くんがひょんな事からルームシェアをすることになる。

同居のルールはときどきお弁当を作り合う事。

世間の目に落ち込みそうになった時、作ってもらったお弁当が2人の心を温める。

 

お弁当の絵がとても美味しそうで読めば読むほどお腹が減るのもこの漫画の魅力だが、

何より、ハルとアオの言葉が優しいのだ。

 

好きなことは好きと言えばいい。

自分のことを「こんな」なんて言っちゃいけない。

自分を貶めちゃダメ。

 

こんな素敵な言葉をとても自然に2人は言うのだ。

優しい絵柄も手伝って、伝わる優しさは倍以上だ。

好きなことを好きと思うことは、何一つ悪くない。

自分を肯定することで、人を肯定する事ができるのかもしれないと気付かされた。

人間関係に疲れたら、ぜひこの漫画を読んでほしい。

 

 

ハルとアオのお弁当箱 1巻 (ゼノンコミックス)